貴重な機会を得たコマツのエンジニアは、ともにAHS(無人ダンプトラック運行システム)プロジェクトに携わっており、世界各地の鉱山現場でコマツの超大型ダンプトラックの無人運転を可能にする新しいシステムの開発に取り組んでいます。このような経験を踏まえ、二人はパット氏にこれまでテクノロジーの進化をどのように捉えてきたのか、そして今後どのように進化していくと考えているのかを質問しました。
パット氏は、次のように語りました。「空気力学を例に挙げると、30年前は風洞を使ってデータを収集し、分析していました。20年前には数値流体力学(CFD)を導入し、近年では、ニューラルネットワークを活用してCFDの解析結果を分析しています。これにより、複数の解析結果でどのような変化が生じているのかを迅速に把握できるようになりました。そして今後数年のうちに、『優位性を得るために、空気の流れをこう変えたい』とシステムに投げかければ、性能向上に必要な空力部品の形状を提案してくれるような段階に到達できると考えています。テクノロジーは常に進化しています。ウィリアムズもコマツも、最先端であり続けるためには絶えず努力を重ねていかなければなりません」
さまざまなチームや職務を経験し、モータースポーツの最前線で40年近く歩んできたパット氏は、どの業界においても、開発とイノベーションへの継続的な取り組みが成功を築く上でいかに重要であるかを身をもって経験しています。「私がF1を愛する理由は、継続した学びが必要とされるからです。私たちが開発したマシンでワールドチャンピオンを獲得したとしても、そこで立ち止まるわけにはいきません。他のチームに追い抜かれないように、進み続けなければなりません。これは、あらゆるテクノロジーに当てはまります。毎日、イノベーションの限界に挑み続けなければなりません」とパット氏は述べます。
この考え方は、コマツの改善を重視するビジネスアプローチと深く通じるものがあります。「改善」の本質は、プロセス、システム、日常業務での小さな改善を積み重ねて、成果につなげることにあります。小さな変化を少しずつ積み重ねることで、やがて大きな変化につながっていくのです。たとえば、ある業務を毎日わずか1%ずつ改善していくことで、1年後には38倍もの向上につながります。
続いてパット氏は、コマツの競争力や企業文化について若手エンジニアたちに質問しました。「エンジニアとして働く中で、コマツの強みは安全性と信頼性にあると学んできました」と児玉和哉(開発部門フィールドオートメーション開発センターAHS管制システム開発グループ)は答えます。「コマツには『コマツウェイ』という理念があり、その理念に従って開発を行うことで、他社との差別化を図ることができます。それが重要なポイントだと思います。違いを生み出すのは、企業文化とそこに関わる人々です。そうした文化によって、優位性が生み出されます」