コマツの若手エンジニアがモータースポーツ界屈指のエンジニアと技術交流

2026.8.5
Atlassian Williams Racing

コマツの若手エンジニアがモータースポーツ界屈指のエンジニアと技術交流


2026年3月、アトラシアン・ウィリアムズ F1 チームのカルロス・サインツ選手とCTO パット・フライ氏がコマツ湘南工場を特別訪問しました。訪問中、パット氏はコマツの若手エンジニア2名と交流し、エンジニアリングや技術開発、キャリア形成など幅広いテーマについて意見を交わしました。この交流を通じて、イノベーションへの情熱から、「改善」の考え方まで、ウィリアムズとコマツの共通点がより鮮明になりました。

 


貴重な機会を得たコマツのエンジニアは、ともにAHS(無人ダンプトラック運行システム)プロジェクトに携わっており、世界各地の鉱山現場でコマツの超大型ダンプトラックの無人運転を可能にする新しいシステムの開発に取り組んでいます。このような経験を踏まえ、二人はパット氏にこれまでテクノロジーの進化をどのように捉えてきたのか、そして今後どのように進化していくと考えているのかを質問しました。

​パット氏は、次のように語りました。「空気力学を例に挙げると、30年前は風洞を使ってデータを収集し、分析していました。20年前には数値流体力学(CFD)を導入し、近年では、ニューラルネットワークを活用してCFDの解析結果を分析しています。これにより、複数の解析結果でどのような変化が生じているのかを迅速に把握できるようになりました。そして今後数年のうちに、『優位性を得るために、空気の流れをこう変えたい』とシステムに投げかければ、性能向上に必要な空力部品の形状を提案してくれるような段階に到達できると考えています。テクノロジーは常に進化しています。ウィリアムズもコマツも、最先端であり続けるためには絶えず努力を重ねていかなければなりません」

さまざまなチームや職務を経験し、モータースポーツの最前線で40年近く歩んできたパット氏は、どの業界においても、開発とイノベーションへの継続的な取り組みが成功を築く上でいかに重要であるかを身をもって経験しています。「私がF1を愛する理由は、継続した学びが必要とされるからです。私たちが開発したマシンでワールドチャンピオンを獲得したとしても、そこで立ち止まるわけにはいきません。他のチームに追い抜かれないように、進み続けなければなりません。これは、あらゆるテクノロジーに当てはまります。毎日、イノベーションの限界に挑み続けなければなりません」とパット氏は述べます。

この考え方は、コマツの改善を重視するビジネスアプローチと深く通じるものがあります。「改善」の本質は、プロセス、システム、日常業務での小さな改善を積み重ねて、成果につなげることにあります。小さな変化を少しずつ積み重ねることで、やがて大きな変化につながっていくのです。たとえば、ある業務を毎日わずか1%ずつ改善していくことで、1年後には38倍もの向上につながります。

続いてパット氏は、コマツの競争力や企業文化について若手エンジニアたちに質問しました。「エンジニアとして働く中で、コマツの強みは安全性と信頼性にあると学んできました」と児玉和哉(開発部門フィールドオートメーション開発センターAHS管制システム開発グループ)は答えます。「コマツには『コマツウェイ』という理念があり、その理念に従って開発を行うことで、他社との差別化を図ることができます。それが重要なポイントだと思います。違いを生み出すのは、企業文化とそこに関わる人々です。そうした文化によって、優位性が生み出されます」
1987年にパドックに初めて足を踏み入れて以来、パット氏はF1界でも屈指の経験を持つエンジニアとして活躍してきました。
その後も対話は続き、パット氏とコマツのエンジニアたちは、コマツとウィリアムズの両社が開発を進めている重要技術についての知見を共有しました。その中で、 これからエンジニアとしてキャリアをスタートさせる若手へのアドバイスを求められたパット氏は次のように語りました。

「自分が好きなことに取り組むべきです。人生の大半を仕事に費やすのですから、自分が興味を持てること、毎日楽しみながら取り組めることを見つける必要があります。そして、常に未来を見据えて、新しいことを学ぶ姿勢を持ち続けることが大切です。最終的には、知識こそが力になります。知識が多ければ多いほど、より多くのチャンスを生かすことができるのです」

セッションを終えた後、モータースポーツ界を代表する技術者の一人であるパット氏との交流がコマツの若手エンジニアたちに大きな影響を与えたことは明らかでした。「F1という常にプレッシャーがかかり、結果が求められる厳しい世界で、エンジニアとして仕事を楽しむマインドセットに驚かされました。」と雨宮誠(開発部門フィールドオートメーション開発センターAHS管制システム開発グループ)は振り返ります。「私自身も同じような考え方を取り入れ、困難な状況にあっても常に仕事を楽しむように心がけたいと思います」

「F1におけるデータ活用の規模と高度さに驚きを感じました」と児玉和哉は語ります。「F1では、膨大な量のデータが送信され、分析されます。その分析結果をもとに、チームはレース戦略や車両セッティングの変更をリアルタイムで判断するだけでなく、 コーナーごとにドライバーへ指示を出すこともあります。同様のアプローチをコマツに取り入れることができれば、その価値をさらに高めることができると感じました」
コマツの若手エンジニアである児玉和哉と雨宮誠が、キャリアを歩み始めたエンジニアに向けたパット氏のアドバイスに耳を傾けています。
トップレベルのモータースポーツ界と建設・マイニングの世界は、一見するとまったく異なっているように見えますが、イノベーションや技術開発、企業文化、そして成功に向けた考え方には多くの共通点があります。今回のパット・フライ氏との交流は、コマツとアトラシアン・ウィリアムズF1チームがパートナーシップを通じて知見を共有し、新たな価値の創出につなげていることを象徴する取り組みとなりました。

 


関連記事

妥協のないパフォーマンス:サステナブルなエネルギーへの変革
月面でF1カーを走らせるには?
モータースポーツと建設機械に共通するイノベーションとは