モータースポーツと建設機械に共通するイノベーションとは

2026.7.16
Atlassian Williams Racing

モータースポーツと建設機械に共通するイノベーションとは


2026年の日本グランプリを前に、アトラシアン・ウィリアムズF1チームのカルロス・サインツ選手と最高技術責任者のパット・フライ氏が、コマツ湘南工場を訪問しました。両氏は技術者たちと交流し、データやシミュレーション、熱電発電技術、さらには職場における協力体制が、サーキットや現場での課題解決にどのように役立つかについて意見を交換しました 。

 


高い精度が求められる現場

改善の余地が限られる中で、チームはどのようにパフォーマンスを向上させているのでしょうか。サーキットでも現場でも、多くの場合、起点となるものは共通しています。実際に作業している人々の声に耳を傾け、データを分析し、一つずつ解決しながら改善し続けることです。

2026 年の日本グランプリに先立ち、アトラシアン・ウィリアムズ F1 チームのカルロス・サインツ選手と最高技術責任者のパット・フライ氏がコマツ湘南工場を訪れました。今回の訪問を通じて、精度、コラボレーション、そしてアイデアを測定可能な成果へとつなげる必要性が、性質の異なる二つのエンジニアリング環境を結びつけました。ウィリアムズの置かれた環境では、パフォーマンスは迅速な学習サイクル、専門チーム、そして高いプレッシャーの中での意思決定に左右されます。湘南工場でも、技術者たちは似たような環境中で、過酷な現場に耐えうる機械や技術を開発しています。規模は違えど、その姿勢に違いはありません。

カルロス・サインツ選手は、実際の機械に触れることで、 コマツの建設機械もFW48 レーシングカーと同様に、厳しい条件下でも一貫して優れたパフォーマンスを発揮できるよう入念に設計されていることを体感しました。

好奇心という共通点

湘南工場で働く社員は、アトラシアン・ウィリアムズ F1 チームの旗を手にサインツ選手とフライ氏を出迎えました。その後、一行は施設内を見学し、コマツの技術者たちと交流しました。

Shonan Innovation Lab

今回の視察は、2023 年に開設された研究開発施設である Shonan Innovation Labを中心に行われました。1 万平方メートルを超える敷地で約 640 人の技術者が働くこの研究所は、「人々が協力しやすく、深く集中できる環境で技術革新は前進する」という実践的な理念を体現しています。自発的な問題解決を促進する開放的なスペース、技術者たちが細かい作業に集中できる専用の作業スペースが設けられています。これは、チームがお互いの気づきを得て試行錯誤し、改善へと進めるよう設計された環境です。

フライ氏は、この施設の目的が際立っていると述べ、「私がモータースポーツの世界に入って、39 年になります。私をワクワクさせ続けるものが 2 つあります。一つは言うまでもなくレースに勝つことですが、もう一つは技術とそれを支える研究です。ですから、ここでの皆さんの仕事にとても興味があります。それを詳しく掘り下げて、皆さんとお話ししたいと思っています」と語りました。

ともに楽しむことで生まれる絆

今回の視察では、サインツ選手が従業員たちと羽根つきを楽しみました。日本の伝統的な遊びとして紹介されたこの対戦では、工場長が勝利を収めました。

データから意思決定へとつながるアイデア

視察先の一つでは KELK の熱電発電技術が紹介されました。これは温度差を利用して発電を行うだけでなく、高精度の加熱・冷却用途にも対応可能な技術です。このデモンストレーションでは、この技術が高いパフォーマンスが求められる環境において、どのように役立つのかという意見交換がなされました。フライ氏は、この技術がバッテリー冷却などに応用できる可能性について言及しました。サインツ選手も「すごく興味深いですね。素晴らしいです。このような技術があるなんて知りませんでした」と関心を寄せました。

この意見交換は、パートナーシップにおいて最も価値ある側面の一つを示すものとなりました。それは、二つの業界が同じ課題の解決に取り組むというよりも、各チームがどのように試行錯誤と改善を重ねているかを比較し合う機会となった点にあります。

熱電技術の可能性

KELK による熱電発電技術のデモンストレーション。温度差を利用して電気を発生させることができる技術で、その電気を表面の加熱や冷却に利用される。フライ氏は、この技術を「バッテリー冷却や、他にも何か面白いこと」に応用できるかもしれないと述べました。

あらゆるパフォーマンス環境においてデータが重要な理由

フライ氏は、自動化システム開発を専門とする湘南工場の技術者たちとも意見交換をしました。そこでは、多くの先進産業と同じく、データ収集、モデリング、シミュレーション、最適化に焦点が当てられました。レースにおいては、わずかな調整がラップタイムに影響を与えることがあります。建設現場や鉱山では、ごくわずかな改善が生産性、エネルギー消費量、安全性、機械の稼働率に影響を与える可能性があります。

どちらの場合も、より良い意思決定には、より良い情報が必要となります。「経験則に基づく推測に頼ることはできません。データを入手し、分析し、正しい判断を下さなければなりません」とフライ氏は指摘しました。

イノベーションへの情熱を共有する

パット・フライ氏とコマツの技術者は、設計上の課題や、データ、モデリング、シミュレーションが機械の自動化開発において、どのように影響を与えるかについて議論しました。

技術革新競争に勝つために

湘南工場への訪問は、新たな協働のあり方を模索する機会を提供し、パートナーシップがどのような新しい価値を生み出せるかを示すものとなりました。技術者にとって、たった一つの画期的な成果がパフォーマンスの向上につながることはほとんどありません。パフォーマンスの向上は、好奇心、試行錯誤、協働、そして絶えず改善し続けるという姿勢によって築き上げられるのです。

サーキットであれ、現場であれ、課題に向かって前進できるかどうかはチームが互いから学び合い、その知見を慎重に活用する姿勢にかかっています。サインツ選手とフライ氏が経験したように、アトラシアン・ウィリアムズ F1 チームとコマツのつながりは、単なるブランド戦略にとどまりません。自らの専門分野の枠や想像力の限界に挑戦しようとするチームこそが、未来を形作ることを示唆しています。

 


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