重機の作業現場 vs. ピットレーン

2026.1.27
Atlassian Williams Racing

重機の作業現場 vs. ピットレーン


あらゆる高性能マシンの背後には、それを支えるチームが存在しています。

一見すると、レーシングカーと建物ほどの大きさを誇る鉱山用トラックや森で活躍する林業機械は、まったく異なる世界に存在しているように見えます。しかし、よく目を向けると、共通する点も見えてきます。いずれも、過酷な環境下で最高のパフォーマンスを発揮するために、舞台裏で熟練したプロフェッショナルチームが支えているのです。迅速な部品交換から精密な整備まで、信頼性の基盤はメンテナンスから始まります。それはピットレーンでも、遠隔地の現場でも変わりません。

どちらの世界においても、マシンは極めて過酷な条件下において、長時間にわたり最高水準で稼働することが求められます。

レースごと、シフトごとに、安定したパフォーマンスを発揮し続けるために必要なものとは何でしょうか。アトラシアン・ウィリアムズF1チームとコマツ の双方に共通する答えは、緻密な計画、規律あるプロセス、そしてプレッシャーの中で力を発揮するチームです。私たちは、両分野のメンテナンス専門家に話を聞き、複雑なマシンを最良の状態で稼働させ続けるための、驚くほどの共通点を探りました。

 


計画

コマツの作業現場では、2300XPC電動ロープショベルの前部に取り付けられ、数十トンの資材を収容できる巨大な鋼製バケットであるディッパーのような主要コンポーネントを交換するには、工具、トラック、クレーン、そして技術者が連携する、複雑で綿密な作業の段取りが必要となります。「3シフトと2人の整備士が必要です。それも、すべての計画が正しく立てられていればの話ですが」と、コマツのローディング製品サポート担当シニアマネージャー、ダン・ハーヴィー氏は語ります。「古い部品を搬出し、新しい部品を搬入する。そのすべてが、正しい順序で現場に届かなければなりません」

ディッパーをはじめとする 2300XPC のすべてのコンポーネントには、コマツのメンテナンス計画に組み込まれた、あらかじめ定められたライフサイクルがあります。

同様に、フォーミュラワンの貨物輸送を管理することも、決して容易な作業ではありません。シーズンを通して1,000トンを超える機材が輸送され、パドック(モータースポーツが行われるサーキットなどで、競技車両の整備などを行うピットの裏にあるスペース)の各要素が空路・海路・陸路と異なる手段で、異なるタイミングで出荷される中、高度な事前計画はモータースポーツの世界において極めて重要な要素となっています。欧州域外のレースにおいては、二酸化炭素排出量の削減と効率向上のため、オフィス家具などパドックの一部は該当地域に常設されます。すべての車両関連パーツは空路で優先パレットとして各レースに送られ、公平性の観点から、全チームのパレットが到着するまで、いずれのチームもマシンの組み立てを開始することは許されていません。

ウィリアムズのリード・スペア・コーディネーターである エマ・ビルスビー氏は、「レースが行われていない週であっても、非常に忙しい状況が続きます」と語っています。すべての貨物はレースから戻り、次のレースに向けて空輸からトラック輸送へと切り替えられます。最初に再出荷されるものの一部は、迅速にセットアップを行うためのガレージ機材です。
「全体では数千点のパーツがあり、そのうち約500点が工場を経由して再び出荷されます。一定の走行距離に達したため整備が必要なパーツもあれば、破損したパーツの修理も行います。多くの部門が関与します。まずパーツの仕分けエリアで分類された後、コンポーネント組立、車両組立、複合材製造試験といった各工程へと振り分けられ、万全の準備が進められます。すべてのパーツを予定通り送り出せなければ、2台分のシャシーを組み立てることも、週末にクラッシュが起きた場合に備えた十分なスペアパーツを確保することもできません。それは、私たちが仕事を正しく果たせていないことを意味し、結果としてマシンは止まってしまいます。だからこそ、非常に大きなプレッシャーがかかるのです」

どちらの世界においても、現場での正確さは、舞台裏での入念な準備から始まります。

プレッシャー下での精密さ――2秒を切るタイヤ交換の緻密な連携。

プロセス

ツールが整い、チームが配置されたとき、最も重要になるのは「どのように作業が行われるか」です。トップレベルのモータースポーツと建設機械のメンテナンスの双方において、強固なプロセスこそが、複雑さを一貫性へと変えます。それは、数秒でタイヤを交換するピットクルーであれ、現場で重要コンポーネントを再構築するコマツのチームであれ、迅速かつ安全に、そしてプレッシャーの中で成果を出すことを可能にします。

コマツのホイール交換はレースでのピットストップよりも時間を要しますが、それでも迅速に作業するためのプレッシャーが小さいわけではありません。欧州サポート担当リージョナル・サービス・マネージャーのミチェル・メラ氏 は、 「私たちの作業現場では、安全を最優先に、工具と人が一体となって動く、精密さを伴う一連の作業が展開されています」と述べています。機械の稼働が停止すれば、生産性が落ちてしまいます。私たちは、プロセスが確実に機能するよう全力を尽くしています。技術者たちは、可能な限り迅速かつ安全で効率的に、診断・修理を行い、設備を完全な稼働状態へ戻すことを目指しています」

コマツのエンジニアリング部門 チーフ・ソリューションズ・アーキテクトである デイビッド・ハウケナス氏 は、もう一つの共通点として、一見ごくわずかな時間短縮が積み重なって大きな成果になる点を挙げています。「タイミングにおける小さな改善は、特にダンプトラックの話になると、本当に大きな違いを生み出します。例えば、私たちが『サイクル』と呼んでいるものがあります。トラックがショベルを離れ、資材を積み、クラッシャーへ向かい、そこで投入し、再びショベルへ戻る――これが1サイクルです。あまり知られていませんが、サイクルタイムをたった数秒短縮するだけでも、それが鉱山内の1台あたり、1時間あたり、そして年間365日分積み重なっていくのです。

ハウケナス氏は強調します。「そうした本当に小さな改善が、突然、お客様にとって非常に大きな成果へと変わります。私たちは常に、最適なパフォーマンスを実現するために、何度も、繰り返し、時間をかけてシステムを調整し続けています」

反復が、優位性を明らかにします。何千ものサイクルを重ねる中で、節約された1秒1秒が、大きな価値へとつながっていきます。

チーム

作業現場であれ、サーキットであれ、あらゆる優れたパフォーマンスの背後には、それを可能にするチームが存在します。コマツと アトラシアン・ウィリアムズF1チームにおいて、世界最高水準のマシンは、冷静な判断、協働、そして絶え間ないトレーニングに支えられています。これらのチームは異なる環境で活動していますが、課題を解決し、常に備え、ここ一番で力を発揮するという同じ原動力を共有しています。

イギリスのダラムにある英国コマツ拠点を訪問した際、ウィリアムズの ピーター・ケニオン氏は、組織における人材の重要性について次のように語っています。「私たちは皆、最高の人材を求めるビジネスに携わっていると思います。出身地や職種を問わず、世界で最も優れた才能に、私たちと共に働いてほしいのです。

彼はこう付け加えます。「しかし、どれほど優秀でも、チームで働けない人材は、正しい人材ではありません。チームワークは常に個人を上回ります。なぜなら、違いを生み出すのはチームだからですし、そのことは私たち自身の経験からも、何度も明らかになっています。勝つのは常に最良のチームであり、必ずしも最良の個人ではありません」

優れたチームは互いに学び合い、決してスキルを磨くことを止めません。それが「Day in the Life」という取り組みの理念です。レース前に、コマツの技術者がトップレベルのモータースポーツにおけるチームワークを、実地で体験できる機会を提供しています。

ハーヴィー氏も同意します。「本当に重要なのは、姿勢、能力、そしてコミュニケーションです。私たちは高度に技術的な状況を扱うため、課題を分解し評価できる人材であると同時に、オペレーターやエンジニアと明確にコミュニケーションを取れる人材が必要なのです」

ハウケナス氏 も、多くの共通点を感じています。「私たちが求めている資質は、トップレベルのモータースポーツチームが求めるものと非常によく似ています。私たちにはデータサイエンティストがいて、エンジニアがいて、整備担当者がいます。そうしたすべての人々が、データが適切に追跡・管理されるよう、常に連携して働いています。もちろん、私たちのトラックは時速300キロメートル(186マイル)で走るわけではないので、許容範囲は異なります。しかし、多くの原則は同じです」

メラ氏は、どちらの場合においても準備とトレーニングが不可欠であると付け加えます。「F1では、メカニックが徹底的にトレーニングを積みます。すべてのピットストップは、一貫性とスピードを実現するために、何百回も練習されます。コマツでは、サービス技術者が新技術、デジタル診断、油圧システムについて継続的なトレーニングを受けます。彼らの専門性は、マシンの世代が新しくなるたびに進化していきます」

互いに学び合うために

コマツと アトラシアン・ウィリアムズF1チームの双方において、高いパフォーマンスの出発点は、人々が単に仕事をこなすことではなく、その中で成長していくことにあります。エンジニアやメカニックから、プランナーやチームリーダーに至るまで、最も価値ある洞察は、しばしば自分たちの世界の外からもたらされます。それこそが、このパートナーシップをこれほど強力なものにしている理由です。まったく異なるように見える二つの業界が、より強いチームと文化を築くために、互いに学び合っているのです。

「コマツと アトラシアン・ウィリアムズF1チームは、どちらも企業文化を深く理解しています」と ケニオン氏は説明します。

「このパートナーシップを行う理由――つまり『6万7,000人の従業員を抱え、より多くの人材を定着させ、事業目標を達成するために優れた人材をさらに採用したい』という点――を理解したとき、数多くの共通点があることが分かりました。その一つが文化です。

私たちはその文化を築かなければなりませんでした。コマツにも、強化したいと考えていた文化がありました。過去2年にわたり、私たちは共に本当に懸命に取り組んできたと思います。ウィリアムズ がコマツを活用する事例、そしてその逆も含め、多くのケーススタディがありますが、それこそがこの関係の核となる真正性を示しているのだと思います」



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