テクノロジーは仕事を変える。その先を描くのは人。

  
2026.6.2
イノベーション

テクノロジーは仕事を変える。その先を描くのは人。


自動化やAI、データ連携された通信機器により、産業のあり方を変えるいま、適応力は必要不可欠なスキルとなっています。
世界各地のコマツのトレーナーが、リスキリングやメンター制度、そして人の判断力がなぜ今も重要なのかを語ります。



仕事が変わるとき、人もまた成長する

仕事は急に大きく変わるものではありません。多くの場合、小さな変化の積み重ねから始まります。新しいシステムを学んだり、これまでと違うデータを読み解いたり、あるいは今までになかった業務に向き合ったりすることから始まります。

そうした小さな変化は、やがて積み重なっていきます。
慣れ親しんだ仕事は、いつの間にか新しい姿へと変わっていきます。
その過程は、不安に感じることもあります。けれど同時に、成長への道でもあります。

コマツでは、こうした変化が現場で着実に進んでおり、人を中心に広がっています。

サービス技術者はデジタル分野の担い手へと進化し、エンジニアは次世代を育てるメンターへと役割を広げています。
働く人々は、自らも予想していなかった新たなキャリアへと踏み出しています。

テクノロジーは、ツールやシステム、仕事のスピードを変えていきます。
しかし、その先で「進歩」をどのようなものにするのかを決めるのは、人です。
新しいツールを正しく活かすための理解、信頼、サポートがあってこそ、その変化ははじめて価値あるものになります。

現場で適応力が求められる理由

ワウター・ブーンは、コマツヨーロッパでサービス・トレーニーとしてキャリアをスタートしました。
その後、テクニカルサポートを経てデジタルソリューション分野へと進み、現在はお客さまや代理店に向けて、建機や車両の稼働管理システムや採石現場をつなぐデジタル技術の活用を支援しています。

彼のキャリアは、新たな部署へと移り、これまでとは異なる仕事に取り組む中で大きく変化していきました。かつてはサービスサポートが中心でしたが、現在ではソフトウェアや導入支援に加え、変革マネジメントまで担うようになっています。
そうした経験は、彼自身の指導にも活かされています。ひとつの仕事を続けてきた人が、まったく異なる新しい役割を学ぶとき、その変化がどれほど大きく感じられるかを、彼は身をもって理解しているのです。

「現場のオペレーターに受け入れてもらうことが大切です」とワウターは語ります。「仕事が効率化し、スピードも上がり、時間に余裕が生まれる——そう感じてもらうことが大切なのです。」

新しいテクノロジーは、それだけで価値を生むわけではありません。人がそれを理解し、信頼し、自分の仕事にどう役立つのかを実感してはじめて、その価値が生まれます。
ワウター・ブーンは、採石現場をつなぐデジタル技術について、お客さまや代理店が理解を深められるようサポートし、新しいツールが日々の業務にどう役立つかを伝えています。

新たな役割が変える、技術力の定義

ビル・チムリーは、こうした変化がより広い領域で起きているのを目にしてきました。

これまでのキャリアでは、物流、サプライチェーン、「排出ガス規制」への対応でしたが、現在はグローバルトレーニングのリーダー職を務めています。

その過程で彼は、技術職の役割が想像以上のスピードで広がっていくのを実感してきました。

いまや技術者は、単なる“従来の技術者”ではありません。場合によっては、高度な自動制御を実現するスペシャリストや自律システムの専門家、あるいは機械の知識とデジタルスキルを掛け合わせた、ソリューションを提供する役割へと拡大しています。

「いまでは、単に作業を行うだけでなく、ソリューションを提供し、課題解決まで担う職種へと広がっています」とチムリーは語ります。

ハイブリッド機や自動運搬システム、スマートコンストラクション、さらには採石現場のシステム連携が進む中で、現場で働く人々にとって単なる技術的な指導だけでは不十分です。必要とされるのは、自信を持って使いこなすための理解と、寄り添うサポートです。

チムリーやトレーナーたちが大切にしているのは、焦点を“人”に置き続けることです。テクノロジーで現場の課題を解決するのは、そこで働く人だからです。
ビル・チムリーは、ジョージア州カーターズビルにあるコマツの施設を案内し、来場者が機械やシステム、トレーニングの様子を実際に体験できるようにしています。

リスキリングが、新技術を進歩へとつなぐ

イグナシオ・カンパサーノにとって、技術的な課題解決から人材育成や指導へのシフトは極めて身近なものでした。

彼はデータサイエンスや仕事の効率化、シミュレーションの分野でキャリアをスタートしました。キャリアの初期は、機械学習モデルやアルゴリズム、システムのパフォーマンスを主に取り組んでいました。ところが、やがてその仕事の内容は大きく変わっていきます。

現場のチームやお客さまとより密接に関わるようになり、彼はある大切なことに気づきました。
「テクノロジーだけでは十分ではありません。人をどう育てるかが、本当の価値を生み出すのです。」

その気づきは、彼自身の役割も変えていきました。もはや単にシステムを構築するだけではありません。そうした仕組みがなぜ重要なのか、そして現場でどのように活かすことができるかを伝える役割を担うようになったのです。

彼はこれまでにチリ、ペルー、コンゴ民主共和国で現場の作業員を指導してきました。その経験から実感しているのは、学ぶ人それぞれが異なるスタート地点に立っているということです。初心者もいれば、より詳細に理解したいと考える人もいます。だからこそ、教える側も柔軟に対応していく必要があります。

自信は、座学ではなく実践で育つ

ティム・ロバーツもまた、異なる視点から同じ結論にたどり着きました。コマツオーストラリアに入社する以前、彼は政府機関や民間企業、教育・研修機関などで経験を積み、これからの企業に求められるスキルを見据えてきました。

現在は、オーストラリア国内だけでなくグローバルに、スマートコンストラクションや採石現場のデジタル技術、その他課題解決につながるさまざまな技術やシステムの教育を担当しています。

彼は、変化のスピードについて率直にこう話します。
「お客さまがテクノロジーを取り入れるスピードに、現場の人材が追いついていません。お客さまでさえ追いつけないほどの速さで、テクノロジーが進化しているのです。」 そのギャップを埋めるために、ロバーツは長時間の講義中心のスタイルから、短い理論説明と実践を組み合わせたトレーニングへと切り替えました。この進め方を、彼は「学び、試し、定着させる」と表現しています。

多くの人にとって、まずやってみること、疑問をそのままにせずに聞くこと、そして目の前の仕事に新しいツールをどう活かすかを知ることで、自信が育っていきます。
ティム・ロバーツは、短いレッスンと実践を組み合わせることで、受講者が新しいテクノロジーに自信を持てるようにしています。

信頼性と同じく、求められる適応力

トレーナーたちの話から見えてくる大きな特徴のひとつは、キャリアの道筋がより予測しにくく、柔軟になってきているということです。

人はひとつの仕事に就いて、そのまま一生続けるわけではありません。分野を横断しながらスキルを身につけ、隣接する役割へと移っていきます。こうした変化は、技術の進展によって求められる場合もあれば、思いがけない適性に気づくことで起こる場合もあります。

ブーンはサービス分野からデジタルソリューションへ。チムリーはオペレーションやサプライチェーンの経験を経て、再びグローバルトレーニングのリーダー職へとつながりました。ロバーツは電気や自動化の現場から、教育やテクノロジー戦略、人材開発へと領域を広げています。カンパサーノもまた、ソフトウェアやモデリングから、人材育成を担う役割へと進化してきました。

これはほんの一部の話ではありません。まさに、これこそが今の時代を物語る流れそのものです。

これからの職場では、これまで別々に考えられていたスキルがひとつに融合していきます。機械とデジタル、技術力と対人スキル、製品知識と教える力──そうした要素をあわせ持つ新たな役割が生まれているのです。
AIやデジタルツイン、バーチャルリアリティなどの技術はこれからの職場に取り入れられていくでしょう。そして、人々が学び、成長し、自らを変えていく機会をもたらします。

知識は、人を通じて広がる

スキルは、講義だけで伝えることはできません。実地指導して理解してもらえるものです。

教育は、単なる指導ではありません。メンターとして寄り添い、背中を押し、その人自身が“自分にもできるかもしれない”と新たな役割を思い描けるようにサポートすることでもあります。

カンパサーノは、その様子をコンゴ民主共和国での教育の中で目の当たりにしました。ある受講者は、研修内容をグループに向けてフランス語に訳せたため、講師を支援しようと積極的に関わるようになりました。やがて、その受講者は、講師に近いレベルまでスキルを高めていきました。

「私たちが講習を終えるころには、彼は中心的な専門人材になっていました。最初は、受講者の一人に過ぎなかったのに」とカンパサーノは振り返ります。

現場の人々はこれまで以上に、より頻繁に変化に対応することを求められているため、こうした知識の伝達は重要です。

優れた教育環境とは、講師からだけでなく、仲間や自らの実践を通じても学べるようになっています。

進歩の中心にいるのは、人

仕事がより高度で専門的になっていく中でも、最も重要なのは、やはり人に本質的に備わったスキルです。適応力や判断力、コミュニケーション力、好奇心、助けを求める姿勢、そして相手が成長するまで支え続ける忍耐力――そうした力が、変わらず求められています。

カンパサーノは、特に「思考力」の重要性を強調しています。自動化やAIに慣れていくことは必要ですが、同時に自分自身が仕事に責任を持ち、その場の状況に応じて判断しなければならないと語ります。

チムリーはAIの活用に期待しながらも、慎重な姿勢を崩していません。基となる情報が正しくなければ、AIはかえってその問題を大きくしてしまうと指摘しています。

またロバーツは、インターフェースが一夜にして変わってしまう現場を経験してきました。だからこそ、柔軟に対応する力は、日々欠かせないものになっているのです。

人は、何度も試行錯誤することで学んでいきます。新しいスキルの習得を後押しするには、組織がひとつひとつの失敗を“取り返しのつかないもの”にせず、安心して試せる環境を整える必要があります。

未来に活躍できる人材を、いま育てる

テクノロジーの進化によって、一部の業務は減っていく一方で、求められるものはむしろ増えています。これからの職場では、立ち止まる人ではなく、学び続け、変化に適応し、そして周囲の人の成長も支えられる人が評価されていくのです。

こうした場面でこそ、この仕事の価値が発揮されます。トレーナーは、役割が変わるとき、新しいテクノロジーが導入されるとき、そして進むべき道がまだはっきりしないとき――人々が前に進めるよう支えています。

トレーナーは、サービス分野の受講者をデジタル分野の専門人材へと育て、データサイエンティストがメンターになり、技術者が新たなキャリアの可能性を描けるよう後押ししています。

その積み重ねによって、知識は人を通じて受け継がれ、イノベーションにとどまらず、その先へと発展し続けていきます。

そして変革は、技術の導入だけにとどまりません。
本当の変革は、機械やシステムだけでなく、人の中で起きているからです。

その始まりは、トレーニングの場や現場、あるいは何気ない会話の中にあります。
自分の仕事が変わりつつあることに気づき、その変化とともに自分自身も変わっていける——そう実感したときです。

研修とキャリアを知る

働き方改革を進めるためには、ひとつの研修だけでは十分ではありません。デジタル学習や実践的なトレーニング、リスキリングの機会、メンターシップ、そしてキャリアの広がり――こうした取り組みを組み合わせることで、テクノロジーの進化とともに変化する仕事にも対応できる力が育まれていきます。


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