人生を変える投資
Reinventarse Foundation (リインベンタルス財団:以下、財団と記載)は、コマツカミンズチリ(以下、コマツカミンズ) が運営する非営利組織であり、過去に軽犯罪を犯した人々が就労の機会と新たな人生を見つけられるよう支援しています。この財団は、国内各地でさまざまな研修プログラムや支援サービスを展開しています。2011年の設立から2024年まで、3,500人以上の人々の再出発を支援しており、参加者の数は年々増加しています。
「コマツカミンズでは、人こそが最大の資本であり、彼らが持つ多様な技能と知識の集合体こそが力であると確信している」と、同社のCEOであり財団理事会の会長でもあるダルコ・ルイットは言います。「リインベンタルス財団はこの理念を共有するものだ」。
アルセがこの財団の存在を知ったのは、24カ月の収容期間でのことでした。財団は、「幼少期や思春期には考えもつかなかった」将来を思い描く新しい道を提供しました。
アルセは、財団が少年院で開催している機械工学の認定基礎講座を受講することにしました。そこで彼は、電気部品や油圧、安全規則の基礎を学ぶとともに、ライフスキルのコーチングや自分の生き方に関するカウンセリングも受けました。不在がちな両親の下、違法行為が当たり前の環境で育った若者にとって、財団の指導は人生を変える契機となりました。「このプログラムのおかげで、自分のスキルと強みを認識でき、弱みに向き合うことで、再犯を防げた」。
財団のスタッフは、持続可能な更生のためには、技術的なスキル取得と同様にソフトスキルや自己理解も重要だといいます。若者であれ大人であれ、多くの参加者は社会からの孤立や疎外、身体的・精神的虐待、教育格差、メンタルヘルスの課題などを抱えています。幼い頃から軽犯罪に手を染めてしまっているというケースもあります。
「彼らと絆を築き、彼らの人生を理解すること、及び、共感や支援を行いながら自身の職務権限を保つことは時に難しいこともある」と、少年院で参加者と向き合う技術コーディネーター兼就労アドバイザーのカティア・ドミンゲスは語ります。「大切なのは、過ちを犯したとしても、これから更生できるのだと自らが気づくよう手助けすることだ」。
財団は調査研究や啓発活動を通じて、社会の意識を変える取り組みも進めていますが、彼らには社会的な偏見も立ちはだかります。「この財団チームの一員であるということは、社会の偏見や課題に挑み続けることを意味する」と、同じく技術コーディネーター兼就労アドバイザーのロシオ・カストロ氏は語ります。「それは可能性を信じ、変化を信じ、若者たちを信じるということだ」。
アルセは次のように述べています。「財団が人を変えるもう一つの方法は、シンプルに一人ひとりを人間として尊重することだ」。