未来の水中工事を叶える
「水中施工ロボット」
近年、自然災害は気候変動により激甚化・頻発化し、
大型の台風や豪雨による河川の氾濫といった災害が後を絶ちません。
そのため、河川やダムに溜まった砂によって水害が引き起こされ、
浚渫工事の重要性がますます高まってきています。
水中施工ロボットとは
地形や天候といった環境による制約に左右されにくく、
安全に広範囲を効率的に浚渫するというニーズに応えるべく、コマツが開発を進めているのが「水中施工ロボット」です。
また、河川やダム、港湾などの浚渫工事以外にも、干潟の耕うんや、新たな藻場の造成といったブルーカーボン生態系への貢献にも期待されています。
水中施工ロボットの活躍する
フィールド
河川の水害対策
河川の氾濫を事前に防ぐために川底を掘り下げて、たくさんの水を安全に流せるようにする河道掘削などの水中工事は、大きな役割を担っています。
水害から人々の命や暮らしを守るために、より一層の河川改修が必要とされています。
地震や洪水、土砂災害の復旧作業
万が一の災害が起こってしまったときの復旧作業にも水中工事は大きな役割を担います。
地震や洪水、土砂災害で流出した土砂や支障物(流木やがれき等)の撤去、海岸保全施設の復旧作業など、迅速に行います。
水力発電の源、ダムの堆積土砂の除去
ダムに、水を貯めるとともに水と一緒に流れてくる砂などがダムの底に堆積します。この堆積した土砂のことを「堆砂」といいます。
「堆砂」は、ダムの容量を減らして機能を低下させます。そんな「堆砂」の除去作業においても、水中施工ロボットの活躍が期待されています。
ブルーカーボン生態系の保全・再生
ブルーカーボンとは、海域の生物によって吸収・貯留されている炭素のことです。ブルーカーボンは、陸域で吸収・貯留されるグリーンカーボンよりも炭素を固定する効果が高いため近年注目されています。
ブルーカーボン生態系である、アマモ場や干潟などの保全・再生にも、水中施工ロボットの活躍が期待されています。
世界中の川や海で、
水中施工ロボットは活躍する
近年の異常気象は、日本だけのものではありません。
また、脱炭素といった地球環境の視点でも世界中で取り組まなければならない課題となっています。
そのため、水中施工ロボットが世界中の川や海で活躍する未来に、大きな期待が寄せられています。
水中施工ロボットのコア技術
自動制御・ICT施工
業界を先導するICT自動制御技術
コマツでは、スマートコンストラクション技術の開発を業界で先駆けて、自社独自に取り組んできました。
水中施工ロボットはこれまで培ってきた最新鋭のICT機能・自動制御を備えており、見ることのできない水中の世界でも、高い精度で設計面に沿った形状へと仕上げることが可能です。
また、遠隔操作のモニターには機体の走行データなどがリアルタイムで表示され、オペレーターは現場から離れた場所からでも安全に作業を行えます。
これによって、これまで水中工事に必要とされた、「職人技」がなくても行えるようになるため、建設現場での「担い手不足」という深刻な課題の解決にも期待されます。
水中施工ロボットの機能
作業機の自動制御
作業機への負荷に応じて、作業機の動きを自動で上下に制御します。
また、車両の動きに応じて作業機を自動でチルト操作することで、車両の直進性を確保し、水中でも土砂の効率的な掘削運搬作業を実現します。
環境にやさしいバッテリー駆動
大容量バッテリーを搭載した環境にやさしい電動仕様です。
水中での機動性
長く幅広な湿地仕様の足回を装備し、水中での軟弱地の稼働性を向上
ブレードは、水中での土砂を効率的に運搬するエプロン仕様
水中施工ロボットの
開発にあたって
今般、設計・製造した水中施工ロボットは、ICT機能と作業機の自動制御により、
遠隔操縦の容易化と、河川やダムの浚渫施工の効率化、高精度化等のコンセプトを実証するためのコンセプトマシンです。
お客さまや水中工事を担う事業者さまなどから高い評価をいただいています。
今後、社会インフラの保全や災害対応など、水中施工ロボットを社会実装させることで、
「未来の水中工事」を実現し、社会貢献できるよう、取り組んでいます。

