価値の回復:マイバッハ鉱山跡地の再生


デジタルデータで変わる土木工事と地域環境再生の物語

ザールラント州の鉱山地域の中心部に位置するマイバッハ鉱山跡は、何世紀にもわたる採掘が残した負の遺産の一つです。

ここは、近隣の鉱山から石炭を含まない廃岩が長い間運び込まれ、27haにも及ぶ巨大な廃棄物の山となってしまいました。
そのため、ここもヨーロッパの他の鉱山跡地と同様に、再開発が進められています。
この10年にわたる取り組みは、鉱山跡地から200万㎥の廃棄物を搬出するという大がかりな作業から始まりました。
現在、新たな土が運び込まれ、埋め立てや整地の作業が進められています。

このフェーズを監督する若い現場管理者のシナ・モッチは、コマツの
スマートコンストラクション®を積極的に活用して作業を進めています。



活用できない危険な土地の再生

フリードリヒスタールにあるこの鉱山跡は、この地域の鉱山の閉山とともに役目を終えました。長年の浸食などにより、そのままでは土地は使用できず、また新たに再開発することも不可能でした。投棄された未固結の物質や地下にめぐらされた坑道跡が、ここをさらに危険な土地にしていました。

大規模プロジェクトの第一歩である土地の再生作業は2020年から開始され、2028年に完工予定となっており、この鉱山を経営していた企業が管理しています。安全な土地に蘇らせ、動植物が戻り、自然環境が再生したら、次のステップは地域社会へこの土地を引き渡すことです。商業開発やレクリエーションエリアなど、新たな持続可能な社会を作るために利用される予定です。

「この日をずっと待っていました」と、2017年に計画が発表された際、当時フリードリヒスタール市長だったロルフ・シュルタイスは語りました。「ようやく土地の再開発をスタートできることは、この町と住民にとって大きな前進です。」


ハイトカンプ・コーポレート・グループの現場管理者であるシナ・モッチは、ICTブルドーザーによって収集されたデータがどのように解釈・活用され、作業の計画と進捗管理を行っているかを説明しています。

膨大な情報を管理するには

モッチは、鉱山跡地の再生プロジェクトを始めたとき、この規模のプロジェクトは従来の工法では施工できないことに気づいていました。

「現場管理者である私の課題は、日々の現場状況を常に把握することです」とモッチは語りました。
「土砂が次々と運び込まれ、様々な建設機械が常に稼働するため、毎日大量のデータを確認しなければなりません。このデータを整理し、次の作業計画立案に効果的に活用することが非常に重要です。」

モッチは研修で、ビルディングインフォメーションモデリング (BIM) の知識を習得しており、この再生プロジェクトでBIM手法を活用し、現場の3Dデジタルツインと比較することで効率的な施工が可能であると考えました。この種のプロジェクトには通常使用しませんが、これにより、彼女は常に最新の施工進捗を確認することができました。

しかし、3Dデジタルツインを作成するための正確なフィールドデータを効率的に収集するにはどうすればよいでしょうか?ドローンは定期的な情報収集は可能ですが、最新の現場状況を確認することはできません。
そのとき、彼女にコマツのスマートコンストラクション®を提案してくれた人がいました。
ハイトカンプ・コーポレート・グループの現場管理者であるシナ・モッチは、コマツの担当者と協力し、スマートコンストラクション®のソリューションを活用して大規模な土木工事を管理する方法を考案しました。
最先端のテクノロジーを搭載したコマツのICTブルドーザーは、現場責任者であるシナ・モッチが現場の進捗を確認するために活用している「デジタルツイン」の構築において、重要な役割を果たしています。

あらゆる業務にテクノロジーを活用

スマートコンストラクション®は、測量から施工まで、現場のあらゆる業務をデジタルでつなぐソリューションです。モッチのビジョンを実現するために、スマートコンストラクション®の販売代理店は、彼女の目標とその課題の分析から取り組みました。両者の協力により、機械に搭載されたリモート技術、データ収集技術を組み合わせることで、モッチが思い描いていた正確なデータを収集することができました。

3Dマシンコントロールブルドーザーの稼働と同時に施工履歴データを自動で収集し、スマートコンストラクション®で3Dデジタルツインを生成します。ICTブルドーザーの施工履歴から埋め戻し作業の地形データを自動で取得し、クラウドに送信します。そのデータとドローン測量から取得した情報が組み合わされることで、現場全体の地形モデル、つまり最新の3Dデジタルツインが作成されます。「スマートコンストラクション®のテクノロジーにより、機械自らが最新の地形モデルを日々作ってくれます」とモッチは語りました。

「現時点の作業進捗が容易に把握できます。どの資材がまだ届いていないのか?各工区の施工進捗はどうか?この工区にはどれだけの資材が必要なのか?このような情報があれば、作業計画の進捗管理が容易になります。」

スマートコンストラクション®のソリューションの1つであるSmart Construction Dashboardで、現場の最新データを簡単に確認でき、作業が容易になります。「切り盛り土量から日々の運土量が算出され、計量機での計測記録と比較しても差分がないことを確認できます。埋め立ての進捗状況を把握できるのです。」

ICTブルドーザーで収集した施工履歴情報と現場のドローン測量のデータにより、現場の最新の3Dデジタル ツインが日々作成されます。

ハイトカンプ・コーポレート・グループの現場責任者であるシナ・モッチは、コマツのスマートコンストラクション®のソリューションによって収集された現場データについて説明しています。
ICTブルドーザーから得られるデータはドローン 測量のデータと組み合わせて、現場の地形モデル (3Dデジタル ツイン) を日々作成します。

協力によって生まれる最適なソリューション

モッチは当初、現代のデジタルツールは土木工事には適していないと考えていましたが、Smart Construction Dashboardの機能を知り、考えが変わりました。現況データや3D設計データがアプリに表示されることにより、現場の状況を把握でき、作業員同士で正確な情報を共有することが可能になりました。作業の進捗状況を視覚化できるので、そのデータを活用して工程の遅れや付帯作業との連携を密にすることができました。

スマートテクノロジーの分野で長年の経験を持つコマツヨーロッパのシニアコマーシャルマネージャーであるバート・ヴィンガーホーツは、モッチがコマツや販売代理店などと協力して課題解決した方法は典型的な進め方だと語ります。現場ごと、機械ごと、課題ごとにカスタマイズ可能なスマートコンストラクション®の多用なソリューションを最大限に活用し、成果を最大化するためには連携が必要不可欠です。

「お客さまが興味を示すのは、Smart Construction Dashboardが現場を可視化するデータを1つにまとめ、現場管理者から事業統括者、経営陣に至るまで、あらゆるレベルの関係者が同じ情報に基づいて意思決定を行える点です」とヴィンガーホーツは説明します。「これにより、正確なデータに基づき、正しく、迅速な判断を行うことができます。「お客さまの現場において、どこで価値を生み出せるのかを深く理解していただきたいと思っています」とヴィンガーホーツは語ります。「お客さまから直接お話を伺い、日々の業務を深く理解することが不可欠なのです。」

モッチはこの経験を振り返り、こう語りました。「土木工事現場の管理作業を効率化するために、最新の技術や手法を活用することができます。だからこそ、スマートコンストラクション®は本当に魅力的だと思います。」

スマートコンストラクション®によって収集されたデータは、このような大規模プロジェクトを管理する上で重要な情報を提供しています。


あらゆる場面で革新を

コマツヨーロッパのシニアコマーシャルマネージャー、バート・ヴィンガーホーツをご紹介します。


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