今吉
コマツ 代表取締役社長 兼 CEOの今吉です。
本日は「エグゼクティブインサイト」として、はじめに2025年度の決算概要と今後の見通しについてご説明し、その後、中期経営計画の成長戦略3本柱の一つ「経営基盤の革新」より、人材戦略についてお届けします。
【2025年度決算の概略】
はじめに、4月28日に発表しました2025年度決算の概略です。
連結売上高は4兆1,328億円、営業利益は5,673億円、純利益は3,764億円となりました。
売上高は販売量が減少したものの、主に販売価格の改善効果により増収となり、5年連続で過去最高を更新することができました。
一方、利益については販売価格の改善に努めたものの、石炭価格下落によるインドネシア市場の落ち込みや、米国追加関税等によるコスト増加の影響を受け減益となりました。
【2026年度の見通し】
続いて、2026年度の業績見通しです。
為替レートの前提は、米ドルを150円、ユーロを174円、豪ドルを106円としています。
連結売上高は、4兆1,180億円、営業利益は5,080億円、純利益は3,180億円と見込んでいます。
引き続き販売価格の改善に努めるものの、中東情勢の影響による物量減や米国関税影響の拡大、調達価格上昇等による原価アップにより減収減益の見通しであり、引き続き厳しい事業環境が続くと見ています。
なお、本見通しには、4月末時点で把握可能な情報に基づき、中東情勢および米国追加関税の影響を織り込んでいます。特に中東情勢の年間業績への影響は決算発表時点で見込むことは難しいですが、直接・間接の需要への影響や原油由来物資の価格アップの影響が継続するという前提で、会社としての見方を織り込み、4月時点ではご説明しています。
地政学リスクの高まりや各地での紛争を受け、事業環境は更に不透明性・不確実性が高まっている状況ですが、需要の変化を捉えつつ、成長機会の取り込みと、コスト・供給面の課題への対応を進めていきます。
決算情報の詳細については、画面上のQRコードからご確認いただけます。
【コマツの人材戦略】
政治・経済の変化の激しさだけでなく、技術の進化も極めて速い経営環境の中で、中期経営計画で掲げた経営戦略の実行と持続的な成長のためには、社員一人ひとりがさまざまな課題へ挑戦し、主体的に変革していくことが重要です。そのため、それを支える人材戦略の強化は極めて重要な経営課題です。
コマツでは、「人材」を新たな価値を創出する重要な経営資源の一つと捉えています。
コマツは売上高の約9割が海外売上げですが、人材としてもグループ社員約6万7千人のうち、約7割が日本以外で働いています。多様なバックグラウンドを持つ人材の能力や個性を最大限に引き出すことが、イノベーションの創出と持続的な企業価値の向上につながると考え、継続的な人材への投資を行っています。
ここからは、人事、教育、安全・健康管理、サステナビリティを管掌している横本取締役よりご説明します。横本さん、お願いします!
横本
はい、横本です。
ここからは、私がご説明いたします。
【人的資本】
先ほど今吉がご説明したとおり、コマツにとって「人材」とは、かけがえのない財産の一つであり、継続的に投資を行っています。
中期経営計画では、経営戦略とのつながりを一層意識した施策を展開しながら、人的資本経営の更なる強化を図っています。
【人材戦略と中期経営計画】
コマツでは、「グローバルに多様な人材が一つのチームとして、事業の成長に貢献できる環境の実現」という人事方針のもと、会社と個人の双方の成長の好循環による持続的な企業価値向上を目指しています。
具体的には、①持続的な人材確保、②ポジションをベースとした適所適材の実現、③次世代リーダーの育成、④適切なコスト管理という会社視点と、①魅力ある職場への入社、②やりがいのある仕事、③継続的な個人の成長、④エンゲージメント向上につながる褒賞という個人視点の双方を踏まえ、「コマツらしいキャリア形成Employee journeyを通じた社員が得られる感情・認識・経験Employee experience」の最大化を図りたいと考えています。
この実現のために、「多様な個性が地域のみならずグローバルに輝ける環境づくり」を人事・教育部門の重点活動として位置付け、さまざまな取り組みを行っています。
また、これらの取り組みを支える基盤として、「心身共に安全な職場の実現」や「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」などに継続して取り組むとともに、定期的なエンゲージメントサーベイにより社員の意識を把握し、課題に対して策定・実行したアクションプランの効果を確認しながら、次につなげています。
【コマツウェイ】
続いて「コマツウェイ」についてご説明します。
コマツグループは、国籍も考え方も異なるさまざまな社員が一つに集うグローバル企業です。
このような多様な社員を結び付ける共通の価値観を、「コマツウェイ」として行動様式で表現しています。
コマツウェイは、創業の精神をベースに、先人たちが築きあげてきた企業文化を明文化したものであり、社員が堅持する姿勢である「私たちの価値観」、すなわち「挑戦する」「やり抜く」「共に創る」「誠実に取り組む」を実践するための、より具体的な行動指針です。
コマツの強みとして共有すべき価値観を持ち、多様な社員がユニークな視点を尊重しあい、共にいかしあって、イノベーションを生み出す企業文化を浸透させていきたいと考えています。
【推進体制】
人事戦略の方向性や、とるべき人事・教育施策を議論する場として、社長を委員長とする「コマツウェイ推進委員会」があります。
国内外の執行役員・グローバルオフィサーが参加し、変化の激しいビジネス環境に対応するため、コマツを取り巻く外部環境を人事的な視点でも分析し、事業の成長を支える人材の獲得・育成について、議論を重ねています。
また、具体的な施策の検討・展開にあたっては、主要な海外グループ会社の人事部門の責任者が出席する「グローバルHR会議」を定期的に開催し、課題認識の共有や施策内容について議論し、施策を展開した上での知見の共有も図っています。
【人材戦略の各種施策】
人材戦略の各種施策は、グローバルベースで横串を刺して行う取り組みと、それぞれの地域や事業の特性に合わせて、効果的かつ効率的に進める取り組みに区分しています。
今回は各地域のHR部門と連携しながら、グローバルベースで推進している主な施策についてご紹介します。
1つ目はサクセッションプランの強化です。
全世界で事業を展開するコマツグループにとって、事業や機能そして地域をけん引するグローバルリーダーの計画的な育成が、成長の大きな鍵を握ります。
コマツの執行役員の他、主要な地域の現地法人のトップについては、その地域のみならず連結経営の一端を担う「グローバルオフィサー」とし、さらに、そのなかからも執行役員を任命し、経営の中核を担う体制です。
こうした経営層を含むグローバルリーダーを計画的に育成するために、グローバルで約 700 の主要なポジションを「グローバル・キー・ポジション(GKP)」として位置付けてサクセッションプラン(後継者育成計画)を策定しています。
サクセッションプランは毎年ローリングを行い、主要なポジションについては、社長を交えたサクセッションプランミーティングで今後の育成プランに関する議論を行っています。
サクセッションプランとも連携する形で、社内研修であるGlobal management seminarを定期的に開催し、コマツウェイに根差した経営を実践できるグローバルリーダーの育成に努めています。
2つ目はグローバルモビリティの拡大です。
コマツは長い歴史のなかで、多くの日本人駐在員を全世界に派遣してきましたが、日本から海外だけでなく、よりボーダーレスなポジションをベースとした適所適材の実現に向けて、グローバルモビリティ、つまり地域間の人事異動を推進しています。
制度として、2024年度より開始したのが、鉱山機械事業における次世代人材の育成を目的とした研修プログラム「グローバル・マイニング・タレントプログラム」です。
各地域の将来を担う人材に対して、国境を越えた実務研修の機会を提供しています。
鉱山機械事業におけるグローバルモビリティの更なる推進と、将来を担う人材の育成を図り、事業全体の競争力強化につなげていきます。
3つ目はイノベーション創出のための人材育成です。
イノベーション創出のために、データやデジタル技術を理解し活用できる人材の育成、ならびに環境づくりを推進しています。
具体的には、育成すべき人材像を明確にし、基礎研修から選抜型の実践的なプログラムに至るまで、一気通貫の教育体系を設け、デジタル人材の育成および、戦略的にDXを推進するリーダー層への成長を支援しています。
また、DXやAI活用を推進するグローバルなプロジェクトチームの活動の一環として、AIが活用・実践される環境づくりを目指した、全社的なリテラシー向上研修も展開しています。
引き続き、全社員がAIを自分事として捉え、活用していく風土の醸成を進めていきます。
【人材施策促進のための基盤整備】
各種施策を支える基盤整備として、心身共に安全な職場環境の実現や、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。
「安全衛生に関する社長メッセージ」のもと、社員が安全で安心して働くことのできる職場環境を確保し、社員の健康の維持・増進活動を推進しています。また、職場における心理的安全性の向上にも努め、社員の新たな価値創造や成長に資する環境整備を図っています。
ダイバーシティ&インクルージョンについては、「発想を広げ、挑戦を加速し、イノベーションを生み出すもの」というトップメッセージを掲げて推進しています。
このトップメッセージをはじめ、D&Iのリテラシー向上やグローバルでの好事例を共有する動画やコラムを13ケ国語に翻訳し、社内への浸透を図っています。
【社会課題解決KPI】
コマツはサステナビリティ基本方針のもと、事業を通じて社会課題の解決と収益向上の好循環を目指し、社会課題解決KPIを設定しています。
人事・教育部門の活動の達成状況についても、KPIとして継続的に把握しています。
また、定期的に実施しているグローバル・エンゲージメント・サーベイのスコアも指標の一つとしています。
中期経営計画では、「持続可能なエンゲージメント」のグローバルスコアに加え、「eNPS」、そして「イノベーション」のグローバルスコアの継続的な向上をKPIとして設定しています。
各国・各部門での分析結果に基づいてアクションプランを着実に実行し、強みのさらなる強化と課題の改善を進めることで、エンゲージメントの一層の向上を図っていきます。
コマツはこれまでも、幾多の困難を乗り越えながら、革新のために挑戦を続けてきました。
これからも、人材を価値創造の源泉と位置付け、一人ひとりが成長し、力を発揮できる環境づくりを進めていきます。そして、社員の成長と会社の成長の好循環を通じて、中期経営計画の実行力を高め、持続的な企業価値の向上につなげていきま